Episode 16-C 「えー!何いってんのよ!これが無かったら、この店最初から来ないわよ!無いなら無いって店の前に書いときなさいよ!外にあんな旗だって立ってんじゃなのよ!」 おっしゃるとおり、店の外には雨の中にも関わらず、黒地に白抜きの文字で「自慢の味、黒胡麻坦々麺」というのぼりが数メートルの間隔で立てられ、しかも誇らしげにハタハタとはためいている。 「申し訳ございません。」 「申し訳ございませんってねぇ、まだ昼も過ぎたばっかりでどうなってんのよ!」 平謝りで逃れようとするウェイトレスをハッパは逃さない。 ウェイトレスは、テーブルの端に座るハッパのすぐ斜め前に立っている。テーブルの逆の端に座っているNTからは、会社で女性の上司から呼び出されて叱られている新米女性社員の様に見えた。 「あの、すいません。仕入れの配送が遅れているみたい、で・・・。」 か細い声で、涙ぐましく店の裏事情を漏らすウェイトレス。 先程の笑顔は哀れにもその顔からは消え去っている。あるのは、ともすれば泣き出しそうなくらいに苦痛に満ちた表情である。 「え何、配送?で、どこどこ、今どこ走ってんの?」 店の外を配送しているであろう車を探す仕草をみせるハッパ。そして、こちらを振り返り 「ちょっと、こんなのおかしいわよね!」 「大体、休日の昼なんだから、家族連れだって多い筈でしょう!?それなのに、この時間にメニューを切らすっていうのは仕入れの見込みが甘いんじゃないの!」 ついには店の仕入れ計画に対してのアドバイスまで始まる始末。 くりくりとした大きな眼をさらに見開いてこちら側に同意を求めるハッパ。怒っているのだが、顔はきれいな笑顔である。もともと、ハッパの顔は美形であり、笑顔は美しかった。その笑顔が美しく明るいだけに、今回はかえって周囲には怖い印象を与えずにいられなかった。 他のメンバーと言えば、半ば驚きつつ、しかし真っ当であるハッパの主張に同意せざるを得なかった。ナオはNTの正面に座っていたが、必死に笑いをこらえている、ルータンはそのナオの右隣にすわっていたが、自分も笑いつつナオを必死になだめている。リンはNTの左隣、akakabaはルータンの右隣に座っているがそれぞれ、笑みを浮かべながらも、心の中では事が穏便に運ぶ事を願ってやまない様子であった。 「じゃあ、しょうがないわね。こっちの方を頂戴よ。」怒った笑顔を変えないまま、ハッパは隣にある違う麺類を指差す。 しかし、ウェイトレスは更に申し訳ないといった表情で「すいません。こちらのメニューも今切らしているんです。ラーメンで用意できるのは、普通のラーメンだけで、その他の麺は全て切らしているんです。」 |
Episode 16-D もう、息も絶え絶えである。この苦境を若い彼女は独りで背負わなければならない。 「えー!何?言っている意味が良くわかんないんだけど、何で普通のラーメンがOKで、他の麺類がダメなのよ!もう話になんないわよ!」確かに。 先程NTが頼んだラーメンが通り、他の麺類が通らないというのは普通に考えても納得しがたい。NTは、自分だけ特別扱いだったのかな?と密かに喜んだのだが、そんなわけはないなと即座に思い直した。 しかし、その時ふと考え直したように「少々お待ちください。」といい、ウェイトレスは厨房の方に向かって駆け出した。そして、こちらにも聞こえるような大きな声で「すいません、坦々麺、まだできないんですか!」と叫んだ。 この気まずいムードから立ち去りたかったのだろうか。NTはそう思っていた。とりあえず、厨房に駆け込み、この面倒な客の対応をどうすればよいのか、さしずめ店長あたりに相談しに行ったのだろう。 ひょっとしたら、店長が直に謝りにくるのだろうか。 そんなに大事ではないんだが・・・。 ハッパといえば、ウェイトレスが一時立ち去った後も、メニューを指しながら、店の文句をぶちまけている。気持ちは解るが・・・。 NTは、我々が来る前から、独り孤軍奮闘して働いていたウェイトレスに対する同情を感じずにはいられなかった。別に、商品が遅れているのも、商品の数量見込みが甘いのも、おそらくこのウェイトレスの責任ではないであろう。それなのに、接客の第一線にいる彼女は客の苦情を一手に引き受けなければならない。 そうしているうちに、ウェイトレスはまたこちらに戻ってきた、そして、思いがけない事を言ったのである 「あの、坦々麺は只今解除になりました。」 「はぇ?」きょとんとするはっぱ。そして、一同。 「解除?」 「はい、たった今品切れか解除になりました。」 「っていうことは、作れるっていう事?」 「はい、そうです。」 この言葉に、一同は拍子抜けしてしまった。たった今、納品が間に合っていなかった筈の坦々麺は用意できるようになったと言う。しかも、それ以外の麺類も全て一度にOKになったとの事。 「なんなのよー。もう。」坦々麺を食べられる事に安堵を覚え、ささやかな勝利の味を味わいつつも、店のいい加減さに呆れるハッパ。 しかし、彼女の武勇伝はこれに留まらない。更に、同様にリンが品切れであると言われ、発注を断念した酸辛湯も、先程のウェイトレスに掛け合い、復活させた。 NTの心も、店のあまりにいい加減なメニュー対応にウェイトレスへの同情心も薄れつつあった。と同時に、ハッパへの尊敬の念が膨らんでいった。その可憐さのあまりウェイトレスに同情してしまった。もし、自分がハッパの立場であったなら、きっと、黒胡麻坦々麺をあっさりと諦め、違う物を頼んでいたに違いない。 そして、その甘さはかえってクレームから学ぶという、この店の学習の機会を失わせ、その成長を阻害したかもしれない。 この事件は、僕に新しい何かを残してくれた・・・。1本のすばらしい映画を見た後の心境を持ちながら、NTは自らの遅い昼食が運ばれてくるのを待っていた。 |
Episode 16-A 「黒胡麻坦々麺」 2003年11月23日。 22歳くらいだろうか、NTはその笑顔を見てぼんやりと考えた。昼を大分過ぎた為だろう、その日の練習後、訪れた中華ファミリーレストランの店の中にはところどころに食事を終えた数人の客が話し込んでいるだけの光景があった。 「8名様ですね。もしよろしければ先にお座りになっていますか?席の方はもう準備できております。」ぱっちりとはしているが、やや目尻がすっと涼しげに流れていて、タレントの優香の眼を連想させる。口元はやや薄めの唇にほの赤いルージュをさしている。化粧は総じて薄く、卵型の輪郭に髪の毛を上の方で束ねて、レストランのウェイトレスとして、申し分のない身だしなみをしていた。 「美しい・・・。」 その動作には、働いている者だけが放つ、健康な美しさがあった。与えられた仕事を積極的にこなしている美しさ・・・。誰しも、雑念も迷いもなく何かに集中し取り組んでいる状態は美しく見えるものである。それが、若く、肌もみずみずしい美しい女性だとしたら尚更である。昼過ぎとはいえ、どう見ても店内に彼女以外の接客係はいない様子で、客の残した食器が客のいない席のところどころで片付けられるのを待っていた。彼女は、片付けの途中であったが、入り口の方で手持ち無沙汰にしているとKIKIの二人に気を配り、先に席に座るかどうか訊いてきたのだ。そして、健気にも、客であるNTとKIKIに対し彼女は、口の端の方を何とか持ち上げ笑顔を見せようとしていた。「ありがとう、奥の方だね。」NTは笑顔を返し、KIKIと共に奥の席へと向かった。 「遅いなあ・・・。」 NTとKIKIは今遅しと他の6人が来るのを待つ。電話で場所を勘違いしたとの話であったが、空腹という生理現象は他人の遅刻とは関係なく自分の感情を逆立たせる。 この感情を抑えるのにNは必死で戦っていた。しかし、そんな中でも、忙しくも笑顔を絶やさず働いている、広い店内でのたった一人のウェイトレスが目の前を通る度に、心はやや和まされた。 | Episode 16-B 「黒胡麻坦々麺 と、そうしているとようやく、akakabaを初めとするラウンダーズの面々が入り口に現れてきた。5名。akakab、ルータン、ナオ、そして今日ビジターで参加したハッパとボヘミアンの二人が現れた。「すいません。大変お待たせしてしまって。道を勘違いしてしまいました。」「いいよ、さあ、頼もうよ。あれ、ゼロ君は?」彼は昼食にはやはり来ないとの事であった。まあいい、とりあえず、この空腹を何とか満たす事が先決だ。それに、今日はこの後会社に寄って片付けなければいけない仕事が残っているのだ。 「あー、お腹減った!何にしよう。」やや甲高い声で、テーブルの端の方で勢いよくメニューを開くはっぱさんがいた。よくよく考えると、このはっぱさんと食事をするのは初めてであった。それぞれが、オーダーを決め、店にたった一人のウェイトレスを呼ぶ事となった。 「はい、お待たせしました。」プッシュボタンの呼びかけに応じ、先程の可愛らしいウェイトレスが我々のオーダーを聞きに来た。空腹のNTは真っ先にオーダーした。 「麻婆豆腐のライスセットとラーメン。」 「えー!食べすぎですよ!」とakakaba。「いいんだよ、腹減ってるんだ。夜はそんなに食べないし。」実際、かなりの空腹であった。今朝の練習は9:30にコートに着いたが、ボールを預かっている手前、 朝食は抜きで家を後にしていた為だ。昨日は一日クロスロードとの交流戦と懇親会で、身体の方はかなりクタクタであったので、今朝の朝食をとる時間は睡眠に充ててしまった。 すなわち、朝起きてからこの14:30過ぎに至るまで、まったく食べ物は口にしておらず、この空腹感を埋めるには、麻婆豆腐もしくはラーメンのみでは何れも役不足であった。 NTが注文した後、ナオ、ルータンがそれぞれ注文し、次に注文をしたのはハッパであった。「えーっと、黒胡麻坦々麺を三つ下さい!」ボヘミアンさん、akakabaの分を含め、 辛さ星三つの黒胡麻坦々麺をハッパは元気よく注文した。辛いもの好きらしい。ところが、このオーダーを聞いたウェイトレスはにわかに顔を曇らせる。 それは店に入って初めて見せる表情だった。そして、申し訳なそうに口を開いた。「もうしわけございません・・・。黒胡麻坦々麺は本日品切れとなってしまいました・・・。」 ふかぶかと頭を下げるウェイトレス。しかし、その言葉を聞いた途端、ハッパの顔が見る見ると変わっていった。 |
Episode 15-A 「犬山U」 2002年11月4日。 「ああ、飲んだなぁ。」足元をふらつかせながら階段を下りる男。週に一度はこんなことを繰り返している。 この日、サーティオールとの交流試合が行われた。足の怪我の為、試合に欠場したNTであったが、その懇親会には参加させていただいた。そしてその帰り。再び例のごとくしこたま飲んだ男Tは、浄心駅まで110番に送ってもらった後、ホームで電車が来るのを待っていた・・・。 「今日こそは失敗しないぞ。」 アルコールにがいまだ漂っている頭を支えつつ、時刻表を見ながらほくそえむ。 既にこの地下鉄で寝過ごし犬山まで行く事2回。しかし、NTはこの失敗を繰り返さない為の、単純でしかも最も効果的な方法を編み出す事に成功したのである。 そう、その方法とは・・・ 「犬山行き」に乗らなければいいのである。 笑みをうかべつつ、壁面にはられている時刻表を見つめるNT。分刻みで発車時刻が羅列されている。その中に「犬」とついてるものに乗らなければいいのである。 「犬」にさえ乗らなければ、電車は上小田井で止まる。 例え寝過ごしても、目的地の庄内緑地公園を一駅を過ぎた所で降りることができるのである。 自分の頭の良さに至極満足する男。 そして、白銀に青いラインの鶴舞線がホームに滑り込んできた・・・。 |
Episode 15-B ふと、気づくと見覚えのある光景が男の目に入った。 「庄内緑地公園」 あ、ここで降りなければ! ドアに近づこうとする。と、その時。「プシュー」 無常にもドアは閉まった。 やってしまったか・・・。寝ないように、席には座らずにつり革につかまっていた男であったが、器用にも立ち寝をしてしまったのである。膝がカクカクする度に起きてはいたのだが、その周期のちょうど悪いタイミングで駅に着いてしまった。フフフ・・・しかし今回はこんな事では焦らない。そう「犬山」まではこの列車は行かないのだ。 しかも、まだ時計の針は22:00を過ぎたところである。 上小田井発終電の時間まではまだ時間はたっぷりある。余裕の表情を見せ、上小田井でホームに降り立つ男。すると、目の前にちょうど反対方向へ向かう列車がたたずんでいるではないか。 「よし!これに乗ろう」 早歩きでホームを横切り、反対側の車両に乗る。 と同時に列車のドアは閉まった。 ん?しかし、乗ってすぐに男はいつもの車両と違う事に気づいた。そしてアナウンス。 「つぎは新名古屋、新名古屋。終点です」 は!? よくよく見ると、停車駅の表には「名古屋鉄道」の文字が・・・。愕然とする30男。夜の帳の中へ。外に目をやると、列車は、ちょうど庄内川の鉄橋に差し掛かるところであった・・・。 |
Episode 14-A 「親指が・・・・」 2002年12月のある日。 終わった・・・。深夜2時久々に完成させたガンプラを見つめ満足の笑みを浮かべるNT。70年代生誕の男子なら誰もが知っている機動戦士ガンダムのプラモデル、ガンプラ・・・。その中でもっとも優秀なやられキャラとして知られるMS−06ザクU・・・。そのしなやかで肉体的な曲線、一つ目の目玉。やられ役にしておくには勿体無いくらいの格好良さである。しかもカラーリングは「名古屋ラウンダーズスペシャルバージョン」。右肩のシールドには深いオレンジ色でNAGOYAROUNDERSの文字、そして胸にはゆう考案のラウンダーズロゴマーク。肩と膝を深緑の甲冑で包み、ベーシックモデルよりもより重厚なカラーリングに仕上げてある。早速その週末、akakba、まゆ、Zero等にお披露目。しかし、反応は今ひとつ・・・。 肩を落としつつ、翌日はやぶ、萌萌、ごっつ等にお披露目。ところが彼等にはすこぶる好評!「すごい!すごい!」を連発する萌萌!「作った甲斐があった」とほくそ笑むNT。そしてやぶがZAKUをいじっているのを、砂場で遊ぶ我が子を見ているように、にこやかに見つめた。「おや?」しかし、よく見るとZAKUの右手の部分が何やらおかしい。「ん?」やぶの手からそれを取り上げ、よくよく見てみると・・・・。 「おい!右の親指がないぞ!」 やぶの目を見つめるNT。キョトンとしたまなざしで見つめ返すやぶ・・・。 確かに、そこについている筈のザクの親指がまるで生まれた時からそうであったように・・・ない。 |
Episode 14-B ・・・どの位の時間が経ったのか、よく憶えていない、ただはっきりしていたのは、NTの目が悲しみに一度沈んだかと思うとみるみると怒りに釣り上りはじめ、やぶの目の瞳孔は一度驚愕に膨らんだかとおもうと、次第に焦りの色に変わっていった。その時計の秒針が僅かに動いただけの瞬間、その瞬間は出会って2年近く経つ二人の間ではもっとも長い時間に感じられた筈である。 そこからがザクの親指大捜索の始まりである。 慌ててザクの置いてあった棚のあたりをまるで部屋に閉じ込められた野良猫のように引っかきまわすやぶ。 萌萌、ごつも捜索に参加。わずか1CMにも満たないプラスチックの破片の為に、大の大人5名位が6畳間をしらみ潰しに探す。「あった!」それを見つけたのはZEROであった。なんとザクのプラモデルキットが入っていた箱の隅に巣からでた蓑虫のようなザクの親指は見つかった。ホッと胸をなでおろす一同。と同時に、部屋にいる面々からはNTに対し非難の眼差しが一斉に注がれた事は言うまでもない・・・。 マニアにしかわからないかも・・・。 |
Episode 12 「ハコ」 2002年6月30日。 結成1周年を迎えたこの日、前日の1周年記念パーティの余韻とアルコールが抜けきらない面々が枇杷島に姿を現した。しかし、やはりパーティの翌日朝の活動の為か集まりが悪い。だが、そんな中、NTは朝8:30きっかりにコートに現れ、この日ラウンダーズに新たな女性メンバーとして応募してきた女性がやって来るのを待っていた。 しかし、11時を過ぎても来ない…。出迎えには、つい先週入会したばかりのハコが向っている手筈であったのだが…。 その時携帯がポケットの中でブルブルと震えた。ハコだ! NT「はいもしもし。」 HAKO「あ、あのー。今日ってコートどこでしたっけ?」 NT「え、枇杷島だよ。」 HAKO「え!!稲永じゃなかったでしたっけ?」 NT「はぁ!今日は枇杷島だよ!」 HAKO「…(しばし無言)。」 その時、NTの脳裏にはすぐ状況が理解できた。 江南市からわざわざ名古屋を縦断し、港区のさらに南に位置する稲永まで行ってしまったのだ。しかも何も気付かず、隣りには新しく参加する人が乗っているというのに…。 そして、その後の会話で、NTは更に愕然とした。 HAKO「枇杷島ってここからどう行けばいいんですか?」 NT「うーん説明はしずらいなぁ。今、地図もっている?」 HAKO「私って地図持ってないんです。」 NT「…。」 地図ぐらい持ってろ!と心の中で叫ぶNT。しかし、どうしようもない。 それから1時間近くかけて、道行く人に場所を聞きつつ。ようやくHAKOがコートに現れた。そして、傍らには3時間以上のドライブに付き合わされた新人(ナオ)。 だが、彼女達が現れた途端に雨が降り出す。練習は中止。結局食事だけをして、解散となる。 入会1週間目にして強烈なエピソードを提供してくれたHAKO。今後のテニス以外の活躍にも期待したい…。 |
Episode 13 「ここは犬山」 2002年8月7日。 疲労と酒に打ちひしがれた1人のサラリーマンが伏見の駅の階段を降りていた…。額には玉のような汗…。 「飲みすぎたな。」 独り言を呟きながら、電車を待つ男。 しかし、この光景みたのを最後に、男は記憶を失ってしまう…。 ふと気が付くと、電車が止まり、人々がだらだらと降りていく。見慣れない駅…。それもその筈である。 ホームにぶら下がっている表示案内を見て男は驚く。 「犬山」 そして、車内に響く「はいー終点、いぬやまぁ、いぬやまぁ。皆様、お忘れ物等ご注意下さいー。」平坦で感情のない声。「俺を降ろすのを忘れてただろー!」勝手な事を呟く男。 男はゆっくりと立ち上がり。出口へと向う。 「やってしまった…。」 かつて、2年程前にも、同じように電車を降り過ごし犬山に来たことがある。 その日は、タクシーで家まで帰ったが、確か9000円近く取られた気がする。 「そんな金があったら、この辺でカプセルホテルでも探すか…。」 しかし、駅の周りを見渡しても、それらしい建物は見あたらない。 どうすべきか…。 「そうだ、前ここに住んでいたCOKEさんに聞いてみよう。近くにいいところを知っているかもしれない。」 電話を受けたCOKEさんは、あまりに心配になたのか、結局わざわざ犬山まで迎えに来て家まで送ってくれたのであった。 ありがとう…。COKEさん。 普段、他人のエピソードばかり勝手に書いているこの男。 たまには自分の事も書いて責任とらんとね…。 はあ…。反省。 |
Episode 11-A 「エキゾチック伝説」 2002年5月のある日。 その日は港北公園で午前の活動であった。昨晩からの雨がコートを銀色に濡らしていたが、ヤル気マンマンのラウンダーズ精鋭8名が集結!さっさと水をかき、6月のレッツとの対抗戦に向けて精力的な練習を行った。 その日JAPANは遅れて10:00頃に参加したのだが、1時間程打ち、ようやく身体が暖まったと思いきや「すいません、今日これから仕事なんで帰ります。」と帰り支度。 そっか…、週末も仕事なんて大変だなぁ…。 他7名は、深く同情し、がんばれよ!彼をあたたかく見送った。 その後、110番が、「僕は今日、これからレッツvsリバティの対抗戦に参加するので行きます」との事。 そうか、ちょうどいい!レッツさんとリバティベルの人達にご挨拶できる良い機会だ。と考えたNT他数名のラウンダーは午後食事の後、稲永に足を運ぶ決意をする。 四川での食事の後稲永へと足を運んだメンバー。 しかし、この後… 信じられない事態が!!(ガチンコ風) | Episode 11-B そう、稲永に訪れたラウンダーの面々がみたのは…。 なんと、何食わぬ顔でリバベルのメンバーとして試合に参加しているJAPANの姿であった!! 「あれ?仕事って言ってた筈が…。」 彼に同情してしまった気持ちを後悔する一同。 「知り合いに頼まれて出なきゃいなかったんですよぅ」 必死に言い訳するJAPAN。しかし、もうどんな言葉も稲永DコートとEコートの間のベンチの上を虚しく浮遊するだけである。 「ヤバイヨ、ヤバイヨ!」 敵側の110番に冷やかされながら試合をするJAPAN。ラウンダーズにいるときのようなダジャレは一つも口から出ない、まるで借りてきた猫のような大人しさで淡々と試合をしている。 他のラウンダーズメンバーも予定外であったが彼の試合を応援した。 そして、レッツも、リバティも素晴らしいプレイヤーが多く、ラウンダーズの面々はしばらくその試合を堪能した。 しかし…。 JAPAN君、他団体の試合に出るのは構わないよ。でも…ウソはやめようね♪ |
Episode 9 「モテ男 けい」 ゆうさんの男友達として、けい氏がラウンダーズに参加したのは、10月の名城公園でのこと。 当初、ゆうさんの単なる男友達であるだけだったはずの彼は、京都からの参加にも関わらず、非常に高い頻度で参加しているうちにそのやわらかい雰囲気が女性メンバーのハートをくすぐり、いつの間にやらラウンダーズbPのモテモテ男へと進化してしまった。 しかし、実はその実態は、テニスをやる前はギャンブル大好き熱血パチンカーだったのである。 ある女の子とデートでの待ち合わせの時の事、待ち合わせまでの暇つぶしにパチンコを始めた彼であったが、思わず大当たり! もうデートなんかどうでも良くなってしまった彼は、彼女に電話しパチンコ屋まで出向かせたばかりか「お前、ここもっとけ!」と自分の疲れた右手の代わりにハンドルを握らせたという。 この話を聞いて、数人の女性メンバーはイメージとあまりにも違うけい氏の真の姿に動揺を隠せずにいるが、嫉妬心に駆られたNTはこのエピソードを散々チーム内で言いふらしていたが、最終的にはこの卑劣な行動は更に自分の首を絞める結果になったことは言うまでもない。 |
Episode 10
「NT&やぶ、涙の合宿」 ちょっと前だけど、2001年7月某日。 ラウンダーズはKazu夫妻幹事の元、第1回目の合宿をひるがの高原で7月20日から行う予定であった。もちろん、NTもやぶもその日を心待ちにしていたのである。が…。 共通の重大得意先がなんと合宿の日程中の21日(三連休のど真ん中!)に商談会を入れてしまったのである!この事実に驚愕する二人。しかし、どうしようもない…。やむなく、二人は初日に参加、そしてその日は泊まらずに名古屋に帰り、翌日商談後、何食わぬ顔でライバル会社同士の二人はスーツから再び着替えて合流し、二日目の夜から合宿に再合流という離れ業を演じた。 商談後、早く皆に合流したかったNTは車中で叫ぶ持ち主やぶを完全無視。山道をキュルキュル言わせながら爆走! やぶはこの事でストレスがやっていられなくなったのか、1人で花火を始めたり、夜道を俳諧しSYUYANA氏を初め皆を困らせた…。 |
Episode 7 「やぶvsAkakaba」 この二人、同学年の同級生である。 しかし、性格と成長の度合は著しく違う。二人の初対面はAkakabaデビューの日であった。遅れてきたやぶは夜のテニスの後の中華料理屋でAkakabaと対面。しかし、普段からボケまくりのやぶに対し、痛烈なまでのAkakabaからの突っ込み。ひるむことなく、ひたすらボケをかますやぶであるが、同年齢の女の子(しかも初対面なのに!)からの容赦の無い突っ込みでやられまくる。そのうち、言葉を失い、普段のやぶれかぶれトークを発揮できない彼は見ていて痛々しい程であった。その後、この二人は常に「蛇」と「蛙」、「てんとうむし」と「アブラムシ」の関係になり、チーム内のひとつの生態系が形づくられてしまった。 合宿ではひたすらやんちゃなやぶに対し、「周囲のことを考えなさい!」と叱責するAkakaba。 今現在、試験直前でテニス以外の行事にはあまり出席していないやぶ…。 しかし、出てくるや否や、きっと腹を空かせて待っているAkakaba蛇の餌食になるのを期待しているメンバーは少なくない…。 |
Episode 8
「Kanagawa伝説」 Kazuさん(今ではその顔を見たことのないメンバーが増えてしまった。)が連れてきた、えらく大人しい人物。Kanagawa君。 しかし、彼ほど、長くそして、几帳面に活動に参加(しかも豊田から!)しているメンバーは貴重である。ただ、その大人しさゆえにある事件がおきてしまう…。 9月1日土曜日。その日は稲永での活動であったが、映画の日であるとの事で、活動後、港の映画館で皆でスーパー銭湯後に映画を見よう!というすばらしい企画が行われた。参加者はNT、Rurula、Akakaba、Coke、りえ、そしてKanagawa。コートを後にし、銭湯に入る前に映画のチケットを購入するために駐車場に車を停め、映画館へ歩くメンバー。そして、映画館に到着し、どの映画を見るかを決める。この日、NTだけが「パールハーバー」、後のメンバーは「ジュラシック3」というチョイス。そして、その後銭湯へ…。そこで、誰かが一人足りない事に気づく…。「あれ、そういえばKana君ってどこ??」 一瞬皆に戦慄が走る…。慌ててKanagawaに電話をかけたところ、彼はまだ一人駐車場で待っていた…。 (T-T) Kana君。皆は君を忘れてしまっていた訳ではない…。ただ、気づかなかっただけだ…。許してくれ…。 |
Episode 5 「赤い彗星」 2001年6月のある日朝。 NTは一通のEメールを受け取る。そのメールを読んだ直後、NTは思わず目を閉じ、目頭が熱くなる感覚を抑えることができなかった…。それは久々のSeitenからのメール。そう、我々のサークルの前身である時期から参加してくれていたが、職場のあまりの多忙さにここ3週間程欠席していた人物である。「東京へ転勤になることが決まりました。短い間でしたがありがとうございました。」 彼が最初に参加したのはZubora氏が訪れた4月14日。 その眩いばかりの赤いテニスウェアは、皆の目を奪う。そして、サーブ…。All or Nothing を地で行くサーブである。その打球はラケットにヒットした直後どこへ行くかは本人でも予測不可能。一直線にラインギリギリに決まるかと思えば、フォルトの連続。前衛の味方選手の後頭部をかすめることもしばしば…。敵はおろか、味方までもが彼のサーブを恐れた。彗星のようなサーブ…、まるでシャアザクのようないでたち…。人は彼のことをいつしか「赤い彗星」と呼ぶようになっていた。 そんな彼がサークルの結成を目前に我々の目の前から去る…。Seitenさん。あえてさらばというのはよそう。いつしか、その彗星サーブをさらにパワーアップして我々に見せてくれるのを待っている。 |
Episode 6 「初心者なんですけど、いいですか?」 2001年5月12日。枇杷島橋緑地。 「おはようございます。」 さわやかな五月晴れのこの日。初めての女性参加者がチームの前に姿を現す。いや、厳密に言うと、我々の中での初の女性参加者はZuboraさんであった。しかしほとんどテニスの経験の無い女性が一人で我々の中に入ってきたのは彼女が最初である。 後に、Shinamonというハンドルネームを持つこの女性は、初参加だというのにテニス後のビール工場見学にも参加。屈託のない笑顔と、初心者でもベテランにも負けないテニスへの情熱で、今では我々のチームの中心人物である。 「初心者なんですけど、いいですか?」 このメールを受け取って、僅か一ヶ月半。 彼女の着実な成長に、細い目を更に細めるNT。 そして、こう呟く…。 「だけど、あの正面打ちサーブ。何とかならんのかな…。」 |
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E pisode 3 「稲永公園、雨」 2001年3月31日。 掲示板を見た仲間が最初に集合したのは4月7日。 しかし、その1週間前に一部のメンバーは互いに顔を知らないまま実は集合していた事実はあまり知られていない。この日、SYUYANAが初のテニス提案として稲永を予約、それを掲示板で告知。Kazu、ZerozerotypeRが参加の意思表明をしていた。NTは当初都合が悪いため不参加の予定であったが、最初という事もあって、急遽時間を繰り下げて参加を決定。 そして当日。折りしも、当日朝は雨が降っていた。「ひょっとしたら中止か、でもこの天気は晴れる!」そう胸に言い聞かせ、小雨模様の道をひた走りNTは到着。が、1時間経っても誰も現れず…。寂しく稲永を後にするNT。だが、後でわかったことだが、その場にはZerozerotypeRも現れていた。そういえば、あの時君の車って止まってたよね!後でそう言い合うNTとZerozeroであった。 |
Episode 4
「ZuboraZubora」 2001年4月14日。 名城庭球場にその女性は現れた。 小柄な身体。茶色がかった短めの髪にバンダナ。 そう、この女性こそ我々の中の伝説の女性プレーヤーZuborazuboraである。とりあえずラリーをし、今すぐにでも雨が降りそうであったため、すぐに試合開始。が、開始後30分で早くも激しい雨が降り始め、あっと言う間にこの日のテニスは終了してしまう。 彼女が我々の目の前でプレーしたのは僅か15分程。 しかし、球際の反応のよさと、その正確なストロークに男性陣は誰しも驚いた。「これなら僕等とでも対等に打ち合える!これからが楽しみだ!」 しかし、その後彼女が彼等のテニスに参加することはなかった。 「ひょっとして、僕等じゃ相手にならないと思われたのか…。」我々がそう気付くのに2週間以上の時間が経過していた。 |
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Episode 1 「テニスしませんか(名古屋市内)」 2001年3月15日。 ある一人の30歳サラリーマンは悩みを抱えていた。 テニスがやりたいが仲間がいない…。 この状況を脱すべく、Yahooの掲示板に「テニスしませんか(名古屋市内)」との題でトピックを開く。 このトピックに既に先にトピを開いて交流を始めていた2人の男がメッセージを送ってきた…。 早速のレスポンスに喜ぶ30歳男…。しかし、この事が彼のこれからの生活を根本的に変えていくことになろうとは知る由もなかった…。 |
Episode 2
「ライバル会社の男」 2001年2月某日。 男が掲示板にトピックスを開く日から遡ること1ヶ月。 ある仕事先の場で、以前から顔見知りであったライバル会社に勤める男と偶然にも昼食で顔を会わせる。 面識はあったものの、さほど親しい仲ではなかったが世間話をしているうちに、互いにテニスが好きで仲間を探していることに気付く。 「こんど一緒にやりましょう」と社公辞令のつもりで連絡先の交換を行なった。 しかし、この男がテニスの集まり1出席率の男になるとは…。 |